
あるいていけば、過ぎ去った夏に会える。
今は、もう居場所がないこの森で、
ぼくは、歩き続けた。
茶色いものが、先に見えた。
ぱっくりと割れた腹から、
転がり落ちる魂。
リスが来て、あたりを見回すと、
一番のりだと言わんばかりに、
今夜の夕食を、持ち去った。
ぼくの探し物は、そんなものじゃないんだ。

まるくて、やわらかい石。
踏みそうになって、とどまった。
オマエハ、ナニモノ?
そう、問いかけると、
ヤメトケ、オレヲクッタラ、ワライタクナルカラ。
モシクハ、イノチヲオトスダロウ。
丁度よかった。
ぼくは今、笑いたかったのさ。
嘘をつくな。
お前は、あの笑い顔に、気づかなかったじゃないか。
あいつは、寂しい道化者だ。
結局、お前達には、腹を満たすことしか、見えていない。
...
そうか、栗のことか。
そう気づいた時には、遅かった。
光をあびたキノコは、あっというまに、黒くしぼんでいた。

おい!
草の中から、みどりの枝があらわれた。
おまえ、何をさがしているんだ?
おれが、てつだってやるよ。
みどりの枝は、もう1本、枝を取り出した。
ぼくは、答えた。
待ってたよ。
ぼくは、君みたいなヤツを待っていたんだ。
ほら、ここに、蟻をいれたいんだ。
蟻だと?
ぼくは、あわてて答えた。
蟻を集めて、蟻の巣を作りたいんだ。
ほら、このケースに入れるだけでいいんだ。
緑の枝が言った。
そうかい。しかし、蟻がほしいなら、
夏に会うことだ。
この道を、ずっと、ずっと、歩いていけば、
いつか、また、夏に会える。
だが、夏は、この森にはいないのだ。
道の先にいるだけだ。
おい、あきらめるなよ。
なぜか、ぼくの気持ちは、素直になっていた。
森の出口が、遠くに見えた。
緑のえだは、葉っぱを広げると、森のおくに飛んでいった。
ふと、見上げた時、時計の針は逆さに見えた。
けだるい朝。
時間が、このまま止まっても、少しもかまわない。
つまらない授業。
先生の教科書を読む声は、頭を通り過ぎていく。
たまに、指名されて答えをいうものがあっても、それは、私ではなく、誰か。
休み時間がきて、また、授業が始まり、そのことの繰り返し。
将来を考えなさい。進路は決まったの?
決まってはいるのに、そこから先へすすまない自分の心。
遠い未来は、夢見ることが出来るのに、今日の自分は、空っぽ。
学校に行く意味ってなんだろ?
受験勉強だけしていたら、それじゃ、だめなんだろか?
言葉にならない思いが頭を埋め尽くした時に、時計の針がもどった。
いつもの朝だった。
あの頃の私が、自分の中で、いつも小さく息づいていて、
時々、持ち上げてくるのだ。
それは、私の中のブラックホール。
自分は生きていたのに。
ブラックホールは、時間とともに小さくなりつつあった。
そして、昨日、ブラックホールは、私の中の感動で、小さな花火に生まれ変わった。

夏祭り。
メインストリートは、歩行者天国になり、
ダンスや、歌や、民謡や…
屋台や、テントで、大勢の人が集まっていた。
ヨサコイのチームの人たちが、煌く衣装をみにまとって、闊歩している。
私は、その日、仕事がすむと、母校の追っかけに、変身。
ことの、始まりは、1ヶ月前に、高校の同窓会で、ヨサコイ部があると知ったことから。
もちろん、こうなるとは予想してなくて、
昨年使ったという、オリジナル曲のCDをいただくために、学校を訪れたのです。
あ、これって、保育園で使えるかなと、そんな期待を込めて。
もちろん、いい大人が手ぶらともいかず、ジュースや駄菓子の差し入れを持って。
さっさと帰るつもりだったのに、ちょうど練習が始まり、誘われるままに、
見ていくことにしました。
その日も、暑かった。
みんな、だらっとしながらも、部長の女の子に促されて、
体型移動や、手の位置や、目線を練習していました。
もともと、りーの習い事につきあって、ヒップホップや、ヨサコイにも
かなり親しんできたので、見るのは大好き☆
少しの休憩に、水道のホースの水にかけより、水しぶきをあびて、
大喜びしてる生徒さんたち。
うちの保育園の子たちと、ほとんどかわらないや。
そう思うと、なんだかいとおしい気持ちになりました。

そして、昼のステージが終わり、夜の部に。
今度は、踊りながら、進行するので、ちょっと大変。
仲良しの世話役さんが、後ろからついてあるき、落としたなるこなんかを拾うので、
急遽私は、みんなの財布や、ペットボトルなんかを預かることになりました。
ごろごろと、荷物を引っぱりながら、人の波を縫って、私も平行移動。
2回目、3回目、となると、生徒さんたちの表情が、とても変わってきて、
心から、楽しんでいるのがわかりました。
少人数で、最後の最後まで、仕上がりにあがいてたんだと、聞いたばかりなので、
このときに、みんなが一つになれたのがわかって、とても熱いものを感じました。
踊りのあと、駐車場での反省会。
私までその空間から離れられなくなっていました。
衣装が、寸前まで出来ず、先生が夜通し縫ったこと。
男子がたりず、ダンス部から、借り出したこと。
マイクで口上を言ってたのが、演劇部の子だったこと。
危機をみんなの手ですり抜けてきながら、感動を一つにしていました。
インターハイで運動部が活躍している学校なので、
小さなヨサコイ部に、なかなかスポットはあたりません。
でも、この日のステージのライトと、たくさんの拍手と、生徒さんの涙が、
大きな花火となって、,打ちあがっていました。
君達が自分の感動だけで終わらせたら、それは自己満足になってしまうんだ。
この君達のために、たくさんの人が朝から働いて、準備して、
こういう機会を作ってくれたことに感謝しなさい。
そうおっしゃった、先生の言葉も熱かった。
来年も踊りたい!
そういった、ダンス部の男子たちは、来年はブレイクダンスを入れるとはりきり、
マイクを持ってた子は、今度は自分も!と言ってました。
嫌だと思って逃げていても、何も残らない。
ちょっとしたきっかけで、何かを見つけるか、見逃すか、それは、自分しだいなんだな。
そんな当たり前のことを思いながら、
みんなが、もらうだけもらって、もういりません。
と、残していった、たくさんのうちわ、保育園のおみやげにゲットしてきました。
文化祭、見に来て!そういわれると、いきたくなっちゃうな…

入り口には、赤い花。
アスファルトの無機質なねずみ色が、
少しだけ、脈打っていた。
空から落ちてくるたくさんの光。
赤いのか、白いのか。
花は、言った。
私は、私の色でさいている。
私は、私の色でさいている。
あなたは、なんの色が好き?
道は言った。
私のいろは、なんのいろ?
知りたかったら、先にすすんでごらん。
わからないことは、とかげにきくのもいいだろう。
なにしろ、
あちこち、あるいているからねぇ。
季節を渡り歩き、
すっかり自分の色を、忘れてしまった。
ちがうよ。
俺は、自由になりたいだけ。
とかげは、おこって、葉っぱの中に、ひっこんでしまった。

池には、たくさんのめだかが見えた。
水面を走る光は、アメンボだった。
君はいいね。
空を飛べるから。
君こそいいね。
泳げるから。
どちらも、自分のほうがいいに違いない、
そう思っていた。
でも、お互いに見えるのだろうか?
水面のキラキラは、
自分をうつすだけの、鏡。
やあ、いちごの花が咲いている。
いちご?

ちがう、ちがう、いちごの実がなってる。
森の中には、魔法使いがいた。
と、思った瞬間、いちごの実は、
つぼみに変えられてしまった。

バラ科のいちご?
だめだよ。
森の中は、ブランド禁止。
ゲーム禁止。
アニメ禁止。
でも、この木が、どうしてもほしい。
ほしいったら、ほしい。
森を買い取るしかない。
困った。。。

もう、いつまで、馬鹿やってるの?
さ、散歩はおしまい。
明日は、月曜日。
おかえりなさい。
そう言ってる、たんぽぽの綿毛が、
なぜか、
宇宙人の
顔に見えるのは私だけ?
森は、不思議な力を持っていた。
疲れていた心に、
ちょっとだけ、小さな力がわいた。
またくるね、枯れ葉色のとかげ君。
自分という人を、探しにやってきます。
(写真はクリックすると、全部みえます)

あの子だ。
中学生になって、まだ、ぎこちない教室。
隣のクラスの女子が2人、入り口に立っていた。
「おい。○○〜!」
不意に自分の名前を呼ばれて、びっくりした。
呼ぶ方向に、あの子がいた。
「おい、お前に、頼みがあるんだって。」
ようやく、あいさつくらいするようになった友だちが言った。
「えっと、塾で、みくちゃんに、これ渡して欲しいんだけど。」
簡単にいえば、同じ塾にいる他校の女子に、CDを渡してくれというものだった。
「仲良しだったのに、学校離れちゃって。」
まだ、出身小学校の友だちとは、つながっているから、
そんな事も、あるなと思った。
塾で会うみくとは、好きなゲームや、アニメの話でよく盛り上がる。
そういえば、おれと同じ中学に親友がいくと言っていたな。
だんだん、頭の中がつながっていった。
もうちょっと、わかるように話せよな…
でも、黙っていた。
「うん、わかった。」
礼を言うと満足したように2人は帰っていった。
それからも、ちょくちょく2人は顔をだすようになり、
必ず、
「おい。」
と、おれをよぶのは、あの友だちだった。
週末の塾、いつもより早くつくと、みくが来ていた。
学校楽しい?
うん、まあまあ。
部活決めたの?
まだだよ。
そんな、会話の中で、突然こう言った。
「みやっち、かわいいでしょう?」
それって、どっち?
「髪、長いほうだよ。」
ふーん。
じゃ、もう一人も、知り合い?
「りほりんとはね、今度会わせてもらうんだ〜」
そうか、あの子、りほっていうんだ☆
そのあと、また、アニメの話で盛り上がってると、先生がはいってきた。
急いで、封筒を渡された。
「頼む。これ、みやに、渡して?」
はい、はい。
でも、俺が、2人の教室に届けるのか?
そう聞こうとしたら、ことばがさえぎられた。
週が明けると、2人が教室にあらわれた。
ちゃんと、連絡はとれていたようだ。
休み時間になると、なんとなく4人が廊下に出て話をすることがふえた。
よく話すのは、みやと友だちだった。
なのに、その2人が現れるのを、なんとなく待っていたんだ。
あるとき、理科教室に移動する時、みやと、いつものおれの友だちが
廊下で2人で話しているのを、見かけた。
なんとなく、声がかけられなかった。
ふと、目でりほを探していた。
どこにもいなかった。
ところが、理科教室の曲がり角に、りほが立っていた。
あ、と言いそうになったが、声がかけられなかった。
けんかしたのか?
そう聞こうと思えばいえたのに、何もいえなかった。
でも、それは、おれの思い過ごしだった。
ほら。
てのひらに、小さな白いものをのせてくれた。
「ほら、おぼえてる?
これ、初めて会った時のタンポポ。
綿毛になってたよ。あげるね。」
やっぱり、そうだったんだ。
朝、通り道の公園の横に、小さなタンポポが咲いていた。
あの朝、思わず、とろうとして、手を引っ込めた時に、あの子が横を通ったんだ。
小さな声が聞こえた。
とっちゃだめ!!
わかってるよ、
その時、おれは、心の中で答えていた。
「いつ綿毛になるかなって、待っていたの。」
なんだか、とってもあったかいものを、のせてもらったようで、胸がドキドキした。
私が、パックをしていた…とかいう話ではないです、ちなみに。
最近、みかんちゃんの連絡帳に、こんなことが。
『おふろにはいっていて、私が顔をあらっていたら、
ママ、目も、鼻も、もう、なくなった??っていうんですよ。』
もう、大笑い。
すると、相棒の先生が、こういいました。
このまえ、おばけの紙芝居読んでて、私が、そう言ったからですよぉ…
このごろ、紙芝居大好きで、1つ読んでも、短いィと言ったりします。
そして、アンパンマンから少し離れてちょっとしたストーリーをチョイス!
なぜか、おばけの本もえらんじゃった私です。
皆さんは、のっぺらぼうって、ご存知?
ある男が、池で魚をつり、すっかりひがくれてかえろうとする。
途中でみつけた女の人の座り込む姿。
どうしたのか、話かけると、のっぺらぼうず。。。
こわくて、ようやく山をおり、蕎麦屋の屋台をみつけそこのおじさんにそのことをはなしたら、
振り向いたその顔が、のっぺらぼうず。
またまた、こわくなって家にかえり、おかみさんにうちあけると、
「それは、こんな顔かね?」
振り向くと、奥さんの目も鼻も、口もなかったというもの。
自分のお母さんののっぺらぼうず、それは見たかったかもね。